― 毛様体賦活系(RAS)と慢性痛の“見えない仕組み” ―
長く続く痛みを抱えていると、
「どうして治らないんだろう」
「自分の体はもうダメなのかな」
そんな不安が、静かに心の奥に積もっていきます。
でも、まず最初に伝えたいのは――
痛みが続くのは、あなたの気のせいでも、弱さでもありません。
脳と体が“あなたを守ろうとしている結果”として起きていることがあるのです。
その鍵を握るのが、『毛様体賦活系(RAS)』という脳の仕組みです。
毛様体賦活系(RAS)ってなに?
RASは、脳幹にある「情報のフィルター」のような働きをする神経ネットワーク。
私たちが受け取る膨大な情報の中から、
- どれを意識に上げるか
- どれをスルーするか
を選び取っています。
たとえば、赤ちゃんの泣き声だけはすぐ気づくお母さん。
自分の名前だけは雑音の中でも聞こえる。
あれもRASの働きです。
痛みが続くと、RASは“過敏モード”になる
慢性的な痛みが続くと、脳はこう判断します。
「この人は危険にさらされている。もっと注意を向けなきゃ」
するとRASは、痛みに関する情報を優先的に拾い始めます。
- 痛みのニュース
- 痛みの体験談
- 「治らないかもしれない」という情報
- ネガティブな予測
こうした情報が、無意識のうちに目に入りやすくなり、心に残りやすくなるのです。
これはあなたの性格の問題ではなく、
脳が“あなたを守ろうとして”働きすぎている状態。
痛みの悪循環が起きる理由
痛みが続く
→ 不安が強くなる
→ RASが「危険だ」と判断
→ 痛みやネガティブ情報に注意が向く
→ 痛みがさらに強く感じられる
このループが、痛みを“治りにくいもの”に見せてしまいます。
でも、ここで大切なのは――
この悪循環は、脳の仕組みを理解することで少しずつほどけていくということ。
痛みを変えていくためにできること
ここでは医学的なアドバイスはできないけれど、
一般的に知られているアプローチとして、こんな方法がよく取り上げられています。
- 心と体のつながりを整える心理的アプローチ
- 痛みに対する「脳の反応」をやわらげる方法
- 不安や緊張を減らすセルフケア
- 認知行動療法など、痛みの捉え方を調整する方法
どれも「痛みを無視する」ためではなく、
脳の“過敏モード”を落ち着かせるためのアプローチです。
最後に ― あなたの痛みは、あなたのせいじゃない
長く続く痛みは、誰の心も疲れさせます。
「治らない」という情報ばかりが目に入ると、未来まで曇って見えてしまうこともあります。
でも、それはあなたが弱いからではなく、
脳があなたを守ろうとして働きすぎているだけ。
あなたの体も脳も、ずっとあなたの味方です。
その仕組みを知ることは、痛みとの関係を少しずつ変えていく第一歩になります。

